2004 年度 感想文
 毎年買ったCDから、気に入った物を選んで編集しております。(買い直しは除く。但しボーナストラックはその限りではない。)昨年度は選びきれなくて、たくさん有って、削るのに困ったよ。楽しいね。
 自己満足で良いのですが、読んでくだすって「興味を持たれたよ、何か買ってみたいよ」と思われた方は、私宛にメールください。
 例年は、印象的な物を冒頭に集めていたのですが、今回は録音年代順に並べてみました。80年代、90年代は空席だけどね、はっはっは。
1. BING CROSBY [LIVIN' IN THE SUNLIGHT] 1930
 CDタイトルは「ストレンジ・ルーツ・オブ・ジェフマルダー」V.A.(鈴木カツ監修)です。少し解説します。何を今さらと思う方が多いでしょうが、ご辛抱を。
 この曲は1975のジェフマルダーの名盤「ワンダフルタイム」で知りました。マリアマルダーの亭主だった人。私が言う「あの頃」てのは、この頃とかヴァンダイクパークス、ライクーダーなどのことでして、彼らがディスカバーするのは、さらに以前の30年代〜50年代で有る訳です。偉大なるアメリカン・オールドタイム・ミュージックよ永遠なれ。

2. RAMBLIN'JACK ELLIOTT [DO RE MI]
 ルーツ物が続きます。これは「ライクーダー・クラシックス2」から。原曲はアメリカ音楽の始祖ウディガスリー。ここに収録はウディの愛弟子ランブリン・ジャック・エリオット。私は二人ともよく知らないが、ライクーダーの1枚目は死ぬほど聴いた。この曲は高田渡さんも1枚目で「銭がなけりゃ」(演奏ははっぴいえんど)と訳してやっていた。ドレミってのは、つまりお金のこと。
3. SHELLY MANNE & ANDRE PREVIN
  [I COULD HAVE DANCED ALL NIGHT] 1956
 シェリーマンがドラムで、ピアノはアンドレ・プレヴィン。ジャズってのは黒人の物であるし、基本は12小節ブルースですが、これは白人ですし、原曲も華やかなミュージカル、マイフェアレディ。しかしこれもまたジャズの本流。お手本のような完璧な演奏。スバラゴイ。自分が恥ずかしくなる。そして1956なのにこの音の良さ!ステレオ録音てのは当時実験的なものだった筈。サージャントペパーズ(1967)もオリジナル盤はmonoですよ。

4. DALE HAWKINS [SUSIE Q] 1957
 The Chess Blues-Rock Songbookから。2枚組36曲。開運なんでも鑑定団の趣き。いかがわしさにも胸ときめく。チャックベリーは意外にいぶし銀。この曲での粘っこいエレキは十代のジェームス・バートンだそうです。1968にジョンフォガティはそのままカヴァーしてCCRの成功につながる。
5. IKE & TINA TURNER [SHAKE IT BABY] 1964
 ブルース&ソウルレコーズ51号の付録から。ティナ・ターナーも強いけど、アイクもギタリスト、ピアニストとして強力。私の『BLUES』収録のHow Many More Years は、わりと原曲に忠実なのですが、あの原曲のピアノもアイクが弾いてるという説が有る。

6. CREAM [TRAINTIME] 1966
「クリームBBCライブ」から。BBCライブで私が買ったのは、ビートルズ、ツェッペリン、キンクス、そしてクリームですわ。DVDでも「20世紀ポップロック大全集」があるし、BBCとNHKとはエラい違いだよなぁ。でクリームといえばジャックブルースですよね。佐藤研二氏は「俺にクラプトンの悪口言わせたら何時間でも喋るよ」と言っていた。で、この曲はジャックブルースの歌とハーモニカ。このように汽車を真似た演奏をトレインピースというそうです。ブギウギピアノも汽車の真似だった訳で、でピアノ、ハープ、ギターとそれぞれが影響し合って、4〜50年代に発展していった訳ですな。
7. KINKS [Mr. SONGBIRD] 1967
 もっと短く書かねば。ハイ。これはヴィレッジグリーン・プリザベイション・ソサエティ。売れなかったと言われているが、甲斐バンドを始め、多くの人がパクっていきました。(未確認。)で、その40分のLPがCD3枚組!?デラックスエディション。
 知らない曲が有るのかなと思ったけど、全部懐かしかった。当時、編集盤でグレートロストってのと、クロニクルスってのが有って、あまり聴いてなかった筈なのだが、どの曲も知ってたね。

8. GEOFF & MARIA [LOVER MAN] 1972
 今回の冒頭の曲の関連。マリアと夫婦デュオ時代のほのぼのもの。上品で優しくて最高ですね。このLPを又貸しされて、結局戻ってこなかったんだよね。このLP5千円ぐらいで売られていて、本当に怒りは治まらない。
9. J.J.CALE [I'LL KISS WORLD GOODBYE] 1972
 これ持ってなかったっけ。懐かCんですけど。黒っぽくて渋いのに、温かくて嫌みがない。曲が短いということの他には何の不満もない。

10. ROY WOOD [SONGS OF PRAISE] 1973
 これレコード屋で流れていて、不思議な懐かしさに包まれた。「これ誰ですか」と聞かないわけにはいかなかった。73年頃、いっぱしのロック博士のつもりだったのに(w)スルーしてました。
 この職人的なメロディー作りと多重録音が、ライダーす的k1さんを思わせますな。このような英国でのみ大人気の物を聞くと、米国のJ.J.ケイルとは同時代で好対照でして。英国人にしかないもの、米国人にしかないものがよくわかりますね。
11. JOHN MILLER [BLUE MOON] 1977
 つまり、英国や日本では、身近にブルースやジャズをやる黒人がいない。のでロックをやる際にひねくれてイジケている。バタバタした8ビートになってしまう。
 このCDの人たち全く知らなかった。年代が書いてないけど、おそらく80年前後のアメリカ人。嫌味なほどのテクニックとセンスで、アメリカンルーツミュージックからジャンゴ(&ステファン・グラッペリ)まで辿っている。ジェフマルダー・クラシックと同じシリーズの、鈴木カツ監修の「ベスト・オブ・アコースティック・スウィング」でした。でも、この1曲は、ポール的甘い歌声による弾き語り。

12. DAVE SWARBRICK
  [ROCKY ROAD TO DUBLIN] 1977
 こちらは負けじと英国のルーツミュージック。スウォーブリックは、ブリティッシュ・トラッドフォークの王様ですな。王様つーよりはロビンフッドの様に身軽な王子様といった印象です。69年にフェアポートに迎え入れられて、やがて事実上のリーダーとして解散(79年)まで。これは76年のソロ。全編歌なしの小編成もの。
13. JACO PASTORIUS [BLACK BIRD] 1981
 誰もが大好きなジャコについては、改めて言うことも無いですが。ひとつ言わせてもらえば、香取慎吾とイチローを足して割らなかった様なルックスですよね。このワードオブマウスが商業的に成功していれば、浮浪者の様に殴り殺されることも無かったのに。と思うと、芸術家ってのは、音楽産業の中で生きるより、中世ヨーロッパの様に貴族が召し抱えて好きなことさせる方が良いのかもしんないね。

14. 福岡史朗 [G.I.JOKE] 2001
 昨年、福島ピートさんの主催するライブが、ふと気になって、見に行って、皆さん良かったけど、私は福岡氏がホントに好きになってしまうました。CDを頂戴して…これは何だっけな…と思う。Gラブ?ではないよね。ロスロボス?でもないか。演奏音のテイストはポールの1枚目。何にせよ洋楽ロックの香りがむせ返るのです。そーいえば去年ラブサイケデリコも聴いてみて、あれも洋楽そのものなんだけど、本質が違うよね。本質とは?少なくとも再家で利己は「どーだ邦楽とは思えないだろう」と言わんばかり。日本人だと思われたくないんだろうね。日本人を恥じているのだろうね。私は哀しい。
 PS.福岡さん、ジャケデザイン残念。内容と違いすぎると思う。
15. STEVE WINWOOD [DIFFERENT LIGHT] 2003
 ウィンウッド。トラフィック好きでした。77年からソロになって。オサレになったな。大人になって普通になりやがったな。と思いました。グラミーの常連で、何不自由ない人生を送っているであろう彼の、55歳にして6年ぶりの新譜。しかし自主レーベル第1弾であるとか、27年振りにクリックもループも使わない同時セッションであるとか。前向きってゴイス。

16. KRAFTWERK [TOUR DE FRANCE ETAPE2] 2003
 こちらは17年振りですって!(セルフカバーのmixを除く。)17年間といえば、ビートルズが、プリーズプリーズミーに火がついてから、ホットランディングが解散するまでの長さだぜい。メトロも「俺さま」が98年だから、まだ7年か。まだまだだね。
 にしてもデビューが1970年てのも驚くけどね。
17. TRUCO & ZAPEROKO [ME FASCINA] 2003
 1年前、評判になっていた「ジェルベブエナ」てのが、新しいラテンをやっていて、ツマラナイ。例えれば、若者の日本酒離れをつなぐために、オサレな料理と日本酒カクテルを開発しましたってな感じでした。日本酒ってのは完成されているのだから、余計なことをするなよ。プエルトリカン、ニューヨリカンは、自分たちの文化が好きだから、50年前のスタイルが今も通用するのだと思う。羨ましい。何より私の耳も喜んでいる。ゾクゾクします。
18. TINARIWEN [不幸なあなた] 2004
 ロバートプラント絶賛の、砂漠の音楽。グナーワというのでしょうか。そいえば「グナワディフュジオン」売っちゃったけど、ティナリウェンは泥臭くて良いね。新しい動きってのは辺境からも出てくるよね。この曲、最初小さな音で聴いたら、歌始まりを1拍目の表と勘違い。それは面白くてスリリング。ホントは歌始まりは、3拍目の裏からですから。
19. THINK OF ONE [DISCIPLINADOR] 2004
 砂漠のグナーワといえば、シンクオブワン(主要メンバーはベルギー人)の前作はモロッコ人との共同作業である「マラケシュ・アンバラ」でしたけど、あれも暗くて売っちゃったな。で、今作はブラジル勢との共同作業。次回はイヌイット(エスキモー)ですって!?そんなやり方もアリ。モハメッド。
 ライブも記憶に新しいな。歌のヘタなブラジルのオバサンが舞台中央なんですけど、オッケー牧場。普通はリーダーが、自分が歌いたくてバンドを作るもんですけどね。
20. JOAO GILBERTO [紙風船] 2004
 声が低くなったなーとオリジナルと比べてみたら、45年間で2音(A→F)低くなっていた。下げすぎでねか。神様とか奇跡の初来日とか言われてたけど、どんな歌手だって、全盛期の若い頃の方が良いに決まっている。でもブルースのジイサンより、ボサノバのジイサンの方がポイント高いですな。意外に良いです。てゆか行けば良かったなー。クヤシー。
 輸入盤の方が安いけど、日本版のブックレット嬉しい。DATテープのデジタルノイズが有って云々の正直な裏話も嬉しい。

 以上です。長々とスミマセン。短く書くのはムズカシーッt!長い方がラクーッt!ホントはDVD『American Folk Blues Festival 1962〜1969』(Vol.1〜3)のことも書きたいのだが、別の機会に。

2005.3.3

 

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