あー気持ち悪い。バンドマン的に言うならば、モチキルイワ。昨晩は記憶が無くなっている。いわゆる帰巣本能というやつで家に着いたのだな。あの重いアコーディオンを肩に食い込ませて、雨の中をフラフラ歩いた筈なのだが、キオクニ無い。  さて、我が楽器史を記憶にある限り書こうと思うのだが、一般ピーポーはそんな話に興味はねえと思うので、ゴミ箱に捨ててもケッコーです。
 さて、初めに言葉ありきと聖書に有る通り、私には初めにエレピアリキでした。よし、今から当時の領収書を探してみよう。
 …有りました。自分が怖いです。驚くべきマメさ。1974年。新品でフェンダーエレピ買ってます。今でこそローズピアノと呼びますが、当時はローズという呼称も無かった。これこそヴィンテージ、本物のフェンダーピアノ。大好きでした。今でも大好きです。絶対に手放したくなかったのだが、6畳一間のアパートではどうしようもなくて、十年後ぐらいに歌舞伎町のスナックに売った。で、さらに数年後その店でも邪魔だったようで、捨てたと言われた。切ないけどしょうがない。今なら買い戻したい。  翌年ホーナークラビネットD6(25万)買ってます。当時クルマの免許もなくて、タクシーに乗るという発想もなくて、楽器屋でこれを買って電車で帰ったのでした。十歩も歩けません。電話で家人を呼び出して棺桶のように担いで帰宅する。これも大好きなのだが置き場所が無くて(十年後?)知人に売る。分割払いの約束なのだが、頭金だけしか貰ってない。憎んでます。呪われろ。
 その翌年ハモンド式オルガンGT-7とレスリーに25万払っている。これは当時在籍していたバンドの所有物だったのだが、そのバンドが解散したため、私が引き取るしかなかったのでした。今でも個人でレスリー所有している人はいないと思うよ。30年間こんな巨大な物体、よくぞ所有できたもんだ。今でも毎回使いたいのだが、ひとりでは持てない。友達いないので「手伝って」と言いにくくて宝の持ち腐れ気味になっている。オルガン本体も最高でした。何度も修理して可愛がりましたけど、大きすぎて捨てた。特注でケースも作ったのだ。人が三人楽勝で入れる巨大さでしたよ。  「あなたは愛している物を邪魔だという理由で捨てられるのですか。最初から買わなければ良いではないですか。」例えばキャデラックを買ったとします。壊れて部品も取り寄せられない。燃費も悪い、大きすぎて裏道走れない、別のクルマ買って車庫は1台分しかない。捨てざるを得ないのですよ。ましてや道楽じゃないんどよ。パソコンですら新しいの買ったら古い方は処分するでございましょう。
 当時、クルマ持ってないどころか免許も無かった。毎日のリハやライブに、いろんな人に頭下げて運んでもらっていたのだよ。非常識だよね〜。ホントそれが大変でした。毎日困ってました。すごいストレスでした。  この頃ずうとるびで、アープオデッセイを使ったこともあったと記憶します。楽器と言える様な代物ではなかったね。私はシンセが大嫌いになりました。でも1978年、国産でもコンパクトなシンセが出始める。このMS−20は穴がいっぱいで、ジャックでつないで電圧の流れを変調する(?)ことがカッコいいと思った。
 ちなみにプチうんちくですけど、穴の方はメリーと呼んだということです。その呼び方が無くなっても、ジャックの方だけ呼称として定着した。という話。  翌年KORGのシリーズでヴォコーダー買ってる。ナゼとも思うけど、考えてみりゃ当時クラフトワークも聞いてた筈だし。YMOの「トキオゥ」も1979の秋だよね。
YMOは当時、和音の出る(!)プロフェット5を使っていた。国産でも1980年、和音が出て持ち運べるジュピタ−4が出ましたよ。買いましたよ。でその年KORGからも国産最高峰と銘打ってトライデントが出る。これが美しくて、どうしても欲しくて買ってしまう。この2台合わせて75万ぐらいかなあ。
 ところが翌年ジュピタ−8というモノが出まして、これが目眩がするほどカッコいい。一般ぴーぽーが見ても、デコレーショントラック野郎一番星にしか見えないでしょうが。私は今でもこれこそ世界一だと思っている。プロフェッと5より断然良い。買いました、74万。専用ケース7万。
 当時ヴァージンVS始まりまして、1980、年収167万。翌年162万。収入の半分以上楽器代だよ。今風に言えば銭形金太郎シンセ貧乏さんということです。家賃4万3千円。ノリ弁当を半分に分け合ってました。ヴイズのメンバーが服買ったり酒飲んだり、月イチで焼肉屋なんて話を聞くと髪が逆立つ程ムカムカした。なぜ私だけ作業が多くて出費が多くて「キーボーディストの宿命だな」なんて不公平な差別発言されると馬鹿馬鹿しくなって、もうやめようと何度も思った。何より自分も創作をしたいのにその時間が取れない。てな訳で自分で自分を追い込んで、短時間で「メリノロジー」を82年に作って出しました。でもそのために8トラックのテレコとミキサーを43万で買って、ローン地獄にハマっていく。
 鍵盤は場所取るので、何台も所有できないので、基本はひとつ買えばひとつ売る。ということです。KORGのトライデントは雑誌に売ります広告出しまして、買ってくれたのは女子高生でした。その女子高生が後の美尾洋乃さんだったというのも、不思議というか。当時は世の中狭かったんだよね。  最初の十年はこんなカンジ。でヴイズは解散、私は離婚。普通ならこの時点でバンドとか諦めるよね。ここらへんのことは「読む」のlionmerry.com/yomu-04.8.18.html とリンケージしてます。でシンセはMIDIケーブルでつなぐ時代に突入。デジタルやPCM音源が主流になり、シーケンサーやパソコン(NEC-PC98)が始まり「いわゆるテクノデリック」からサンプラーがメインになってゆく。こんなこと際限なく書いても読まされる方がツライですよね。謝謝。2005.5.8
おもな購入楽器。もちろん自慢でも何でもないです。むしろ自宅スタジオとして活動されている方から見れば御笑い種です。
1 1974 エレピ フェンダースーツケースピアノ ¥432,000
2 1975 クラビネット ホーナー、D6 ¥245,000
3 1976 オルガン GT-7とレスリー ¥250,000
4 1978 synthesizer KORG-MS-20 ¥83,000
5 1979 ボコーダー KORG-VC-10 ¥130,000
6 1980 synthesizer Roland ジュピター4  
7   synthesizer KORGトライデント ¥458,000
8 1981 synthesizer Roland ジュピター8 ¥738,000(ケース¥68,000)
9 1982 レコーダー フォステクスA8(+)350 ¥428,000
10 1984 synthesizer Rolandスーパージュピター(+MPG) ¥313,000
11     スーパージュピター用鍵盤MKB ¥150,000(ケース¥77,000)
12 1986 サンプラー AKAI-S900 ¥300,000
13 1989 synthesizer KORG-T3 ¥215,000
14 1992  サンプラー AKAI-S1000 ¥300,000
15 1993 アコーディオン ブガリ ¥220,000
16    サンプラー AKAI-CD3000 ¥250,000
17 1994 シンセ音源 Emu-VintageKeys(など) ¥150,000(など)
18 1995 レコーダー FOSTEX-RD8 ¥570,000
19 1998 レコーダー Roland VS-1680 ¥240,000
20 1999 オルガン Roland VK−7 ¥100,000
21   synthesizer KORG TRITON ¥200,000
22   デジタルピアノ YAMAHA P-80 ¥110,000
23 2002 synthesizer KORG MS-2000 ¥62,000
24 2004 オルガン KORG CX-3(MIDIなし1980) ¥84,000
25 2005 synthesizer KORG X5D ¥40,000
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