2007 年度 感想文
1. PAUL McCARTNEY
【SEE YOUR SUNSHINE】2007『追憶の彼方に』から
 ポールは今回も正攻法で、正面からポップスの王道をやったね。when I'm 65になっても、この歌のウマさ。曲も手が込んでいて緻密で、仕立ての良い英国のスーツの様。知らないけど。
ミドルテンポが多い。1曲目はシンプルに、マンドリンジャカジャカ。他愛のない歌詞。2曲目はup tempoの、職人的に見事なメロディー。そして3曲目はコーラスもスゴイし、何よりベースの奔放なフレーズよ!
今回何曲かバンドで生録音してるけど、ポールはひとり多重録音が良いなぁ。10ccとかも思い出す。もっと格が上ですけど。

2. PRINCE【GUITAR】2007
『プラネット・アース〜地球の神秘』から
 殿下も枯淡の境地には縁遠い人だなぁ。1982年の「1999」から常に第一線に居るって、他に居ないんじゃない?マイコージャクソンより百倍カッコいい。49な筈だけど、変わらないね顔。今回JAZZフュージョン味は無いけど、バラエティ豊か。ロック風味強し。この曲なんてスゲーギターだよ全く。でも1曲目は重くて暗くて凝り過ぎ。ツーマッチ。


3. LITTLE ROYAL【SOUL TRAIN】1972『 雑誌ブルース&ソウル・レコーズ/74号付録』から
 これは、ジェイムスブラウン追悼特集でした。付録CDはスペシャルトリビュート。この人は知らない。聞いたコト無い。JBの前座をやったことがあるそうです。正しいファンク。どーですこの暑苦しさ。他にボビーラドクリフという白人ギタリストが、強烈に暑かった。買ってみたい。

4. HARRY HOSONO【SPORTS MEN】2007
『FLYING SAUCER 1947』から
 細野さんのインタビューに寄れば「僕が今好きな音楽は、それ(60年代)以前の音楽。マルチトラックになってからの音にはもう飽き飽き。それ以前のものは音の響きが違うんだよね。」ということで、当初はワンポイントマイク録りも試したそうです。直ぐ諦めたようですが。そういえば私の「BLUES」も古い音にしたくて、人に相談していた時に、横川氏に「ワンマイクで録れば」と言われたことを思い出した。まぁそもそも楽器自体の音も昔と違うし。無理だと思う。
さてこのアルバム。全部生楽器。ほとんどが生バンド。マルチではあるが、一発録り。この曲は名作フィルハーモニー(82)に入ってたテクノの曲。全編がカントリーフレイバー。元々カントリー好きだったそうですが、今回ギターの徳武氏が一緒だったので、これはもうカントリーやらない手は無い!と思ったそうです。徳武(Dr.K)さんは、Tights「ラジオデリカテッセン」の「キナリ」でギター弾いてる人だよ。西村哲つぁんの先生的なスタイル。


5. ブリジット・フォンテーヌ
【黄色いハープ】1975『あなた達と私達』から
 長く書き過ぎ。以後は簡潔にっ!70年代のB.フォンテーヌ、全部好き。暗いフォーク調も多いのに、何故だらふ。アレスキーの存在も大きいのかな。ワカラナイ。けど、ジャンルに属さない奇妙な怖さ。例えれば、高校生が小劇場のアングラ劇団を見て、トラウマになった様なカンジ。

6. RY COODER【RED CAT TILL I DIE】2007
『My Name Is Buddy』から
 前作も大作だったけど、今回も17曲。本人の歌唱多し。アメリカルーツ音楽志向濃い。1970デビューからの初期3作を思い出す。嬉すい。擬人化された猫が戦前の保守的南部アメリカを放浪する物語。ブックレットも豪華。読んでみた。始まりの部分なんぞは私のドンキホを思い出させるよ〜。選んだ曲はローファイですが、他の曲は良い音で渋いです。C&Wとか黒人音楽とか。

7. FRANKIE LEE SIMS【LUCY MAE BLUES】1953
『LEGENDS OF GUITAR/ELECTRIC BLUES,Vol.2』
 RHINOという趣味趣味レーベルから出たコンピ。GUITAR-PLAYER-MAGAZINEと連動してるのかな。白黒混合で変な選曲。この人はダーティなテキサスブルースですなぁ、と思ったらライトニンホプキンスの従兄弟らしい。
8. CHARLIE PALMIERI【ラ・イハ・デ・ローラ】1972
『Fania Best Of New York』から
 FANIAのエッセンスがギュッと詰まって70分。1800円。コレは御買い得ですねぇ。ブーガルー系のモノ、今回まとめて聴けて嬉しいけど、やはり70年代前半の硬派なサルサ!この濃厚な戦地見えんと!クラクラしますなぁ。勿論エレキもドラムも入ってないから逆に古くならない。永遠に完璧。高度なのにJAZZやクラシックと違って、インテリ向けじゃない所がイイ。同朋の為の、踊る為のラテン。

9. HAMPTON HAWES TRIO【CARIOCA】1955
『HAMPTON HAWES TRIO,VOL.1』から
 JAZZピアノの名盤とかでよく見るジャケ。良く聞く名前。1100円なので買ってみた。スゴスギ。トレビア〜ンなトランプ手品を見ているようです。1950前後の10年間にJAZZ界にスゴイ変革が有った訳ですが、裏を返せば覚せい剤のような物の流行、という事情も有るようですな。酒だったら、こんなスピードは有り得ないよ。
10. CLAUDINE LONGET【LOVE IS BLUE】1968
『僕たちの洋楽ヒット.3』から
 このシリーズ、中古で買って気が付いたら6枚目。この68〜70年てのが自分的にジャストミート。ど真ん中。高1時代のトランジスタラジオ。西暦2525とか…胸キュ〜ン。今聞くと赤面もののAm(短調)盛り上がるぜぃ。全22曲中13曲がクソマイナー(短調)でした。曲は勿論ポールモーリアさん。

11. ジム・クロウチ【I GOT A NAME】1973
『STORIES AND CHARACTERS』から
それから3年後、私的なことは拙書ソガイカンの「19歳」に書いた通りです。トップ40からは卒業してたはずだけど、何故か懐かしい曲。この頃スチーブミラーバンドのジョーカーとか。FENでよく聞いた。この人は苦節10年ようやくヒットが出て、1年足らずで飛行機事故で死んじゃった。この曲の他には「オペレイター」とか。

12. ROGER NICHOLS【DON'T TAKE YOUR TIME】1968
『ROGER NICHOLS and the Small Circle Of Friends 』から
その頃だと思うけど、ロック喫茶で聴いた筈。生意気な友人は、ロックを嫌ってこれを誉め讃えていた。私はオシャレ嫌いだったので、今までずっと避けてきた。プロデューサー、トミーリピューマ、アレンジャー、ニックデカロ。岩倉君路線ですなぁ。レココレ、ライターの選ぶベスト100ではブラインドフェイスを抑えて堂々の42位。驚くべきは、国内盤が出たのは20年遅れの1987年だったそうです。さらに驚くべきは、今月40年ぶりにスモールサークルオブフレンズの第2弾が出て、評判良さげ。奇跡ですな。聞きてーなー。買っちゃうだろなー。

13. NEIL YOUNG【A MAN NEEDS A MAID/HEART OF GOLD】2003
『LIVE AT MASSEY HALL 1971』から
 さらに昔話は続く。ニールヤングでどれが好きと聞かれたら、9割の人がアフターザゴールドラッシュ、かハーベストと答えるでしょう。これはその間に録音されていた弾き語りのライブ。したがってこの曲は新曲として披露されている。感無量。喋りもチューニングも編集していない。オープンチューニングはスティルス印だと思ってたけど、ヤングもやってたのね。個人的にはDon't let it bring you downとか感動だけど、それは4way streets有ったればこそなのでして。LPをんんじゅう年ぶりに出して聞き比べてしまった。青春がよみがえった。
私は輸入盤を買ったのだが、オマケDVD付き。コレが何と、このライブ映像。ほとんど2カメで撮っている。少しウルッと来た。もし70年代に映画館でこれ見ていたら、ボーダの涙だったろうなぁ…。それにしてもホントに知久くんと同じ匂いがする。似てる。
14. DEVENDRA BANHART
【CRIPPLE CROW】2005 『CRIPPLE CROW』
 新譜ではなくてひとつ前。南米(ベネズエラ)育ちの所為か、カエターノ云々引き合いに出されますが、曲(和音)や演奏は幼稚といってもよい。でもこの震える声と空気感で、見事なアシッドフォークっぷり。むしろドノバンの魔女の季節を思い出してしまった。オーラの泉。

15. (SCARLATTI)【SONATA "PASTORALE"】
   『THE ACCORDION』から
 どこかの中古屋で、安いという理由で買った物。海外の怪しいレーベル。オムニバス。録音年どころか演奏者も書いてない。1曲目はピアソラかな。でも嫌い。笑わない人は基本的に嫌い。他の曲は変なBGMが多かったけど、3曲クラシックがあって、コレが気持ち良い。感心した。
16. 岡本定義【風船男】2007
『象牙の塔』から
 COIL、10年目にして岡本初ソロ。とはいえcoilっぽい。演奏は生バンド。とはいえ彼は曖昧なところが無い。多分頭の中で完成している。英語の歌詞が1曲。徒然草風な詩もあるのね、と思ったら作詞:吉田兼好でした。1曲目にはやはり素晴らしいモノを持って来ますな〜。スバラシ。

17. 東京ローカル・ホンク
【社会のワレメちゃん】2007『生きものについて』
 あがた鶯谷で、スレ違った男性から頂いた。帯を読んだら1990年に「ヒコーキの歌」を出した”うずまき”の人だった。ベーシストが変わったようだが、聴いたら同じ空気感でした。noエフェクト、noキーボード、noエコー。ハーモニーが少なくなり、演奏パートが多くなった。このバンド、愛聴という程ではないけど、忘れられない、忘れてはいけないバンド。真面目にやればココに行き着く。練習してる音だよね。ウマいもんね。アリエナイウマイ。だから尚更切ない、やるせない。
18. SLY & FAMILY STONE
 【BABIES MAKIN' BABIES】1973 『輪廻』から
 これ。私が生涯で最も聴いたと思うアルバム。先日、川口君とパオサンキュで泥酔してる時に、これを掛けたら酔いが醒めた。つーか夢かと思った。内容が違う。re-mixなんてもんじゃない。アレンジが違う。演奏が違う。最近になって「フレッシュ」の紙ジャケ聴いたら、ボーナストラックでそれが入ってた。初CD化された時に手違いで別音源マスターを使ったそうです。そもそも当時73年、これがほぼ完成した時点で、スライがふらりとスタジオに来て、殆どの曲の全ての演奏を自分で録り直しちゃったんだってさ。知らなかった。いくらリーダーとはいえ、スゴい事しなはる。で、今聴いてるコレが差し替え前の方。ドラムはアンディニューマーク。成る程。で私は、慣れ親しんだスライドラムの方が好き。

19. PREFAB SPROUT
【GOODBYE LUCILLE No.1】1985『STEVE McQUEEN』から
 私にとってのロックは、1981のPILを合図にガラガラッと崩れて終わった。それ以降はバンドではXTCしか無いですよ。今回レココレの80年代ベスト100見たら、プリファブが6位!何なんだ?何だっけと、気になって買ってみた。何となく懐かし。80年代のこのドラムの音は嫌い。デジシンセも。でもこの”ジョニジョニジョニ”良い曲だね。このシャウトも凛々しい。カッコいい。ギターは光永GUNっぽいねぇ。
プロデューサーはトーマスドルビー。今トーマスさんも聞き直してるけど、成る程!同じ世界だわよ。で、これらはロック以降の音楽ですよね。



今回も長く書き過ぎた。短く書くのはムヅガジ〜。そして1年前と同じ事書くけど、DVDはどんどん溜まって来た。DVDは、出来れば誰かと一緒に見て、喜びを分かち合いたい物体なんですよぅ。 2008.1.30

興味の有る人(聴きたい人)は、ココニメールくださいね。

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