自由席に乗る人々の行列の、後ろに付いて、
満席の予感は的中。 150%かしら。
こんな筈ではなかったと言うのは、愚者の結論。
私は愚者かしら。
自動扉と座席の隙間に身体を押し込んで、
コレを書いてます。

この自動扉が、引っ切りなしに、
閉じたり開いたりを繰り返すのには閉口したけど、
10分程で落ち着いて来た。
読書に耽るうちに、気が付けばトンネルの中。
途方も無く、長く、暗いトンネル。
を、列車は全速で後ろ向きに進行する。


乗客は皆、妙に無口。
達観したような40女。達観出来ない青年。
矢鱈とキョロキョロ見回すオッサン。
落ち着きの無い幼い兄弟。
死んでも良い程、幸せの絶頂にいる恋人達。
全ての人々は無口。列車は暗闇を突き進む。
「只今、海底駅を通過」と電光掲示が流れる。
スゴイ風音。
スカイダイビングって、こんな音かもしれない。
車輪の音も「ソイヤサッドイヤサッ」と聞こえる。

おそらく…(逆に読めば、くらそお)
おそらく…。おそらくって何だっけ。

JRは、惜しげも無く冷房を奮発する。
我々は腕を擦って我慢していたけれど、
心まで冷えきってしまいましたよ。

列車は「きこない」に到着。
何も 「きこない」誰も「きこない」
子供が我慢出来ずに騒ぎ出す。
「夏休の自由研究決まったよ、
シジミに酢を掛けるとどうなるか」
…浮きシジミ。伸びシジミ。…生きシジミ。


人生は旅だね。でも旅は人生じゃない。
旅って何だらふ。
たびたび問題になりますが、答えは得ず。
テレタビーズ。照れ旅射ず。ラァラ♪ポー。
言いたい事が有るなら、はっきり言いなさいよ。
言いたい事なんかネエよ。
冷房の亡霊は、海岸沿いを走り続ける。
海の幸の予感。海の不幸の予感。

突然車内放送が、素っ頓狂なメロディー。
汽笛イッセーシンバシヲ〜♪
間もなく終点函館に到着いたします。
何年振りだろう。は〜〜〜〜
るばる来たぜハーコだって〜。
ってね。 この芋虫に。


<戻る